福島民友新聞家庭版「Me&You」27年11月号に掲載されました

小さな芽~地域の中で子どもが育つということ~ 理事長 若月 ちよ

昔、子どもたちは町中のあちらこちらで遊んでいました。
空き地や道路が子どもたちの遊び場だった時代……大人たちは、近所の子どもたちみんなを見守り、声を掛けてくれる存在でした。
ですから、悪いことをすると、近所のおばちゃんやおじちゃんに叱られることもありました。しかし、反対に「○○ちゃんは、学校の勉強はできないけど、小さい子の面倒はよく見てくれるいい子だねえ」とか、お使いをしていると「家の手伝いをして、えらいねえ」とか、地域の中で褒められる機会がありました。また、大人から見ると「悪がき」に見える子でも、遊び仲間の中で遊びのリーダーシップが取れる子、楽しい遊びを創り出せる子は、周りの子どもたちから一目置かれる存在として、地域の中で認められる機会がありました。

子どもが関わることができる世界が、自分の家と学校だけでなく、地域の中にいくつかあれば、それぞれの場で、いろいろな人と関わることができ、おのずと子どもはいろいろな人たちのまなざしの中で育っていくことができます。一面からの評価ではなく、その子をいろんな面から見てくれる人がいて、その子の、その子らしさを認めてくれる、そういう機会を得ていくことができるのです。

地域のつながりが希薄になったと言われて久しい現在、気軽に近所の子に声を掛けることさえしにくくなってしまいました。それは、子どもの立場からすると、学校や家の中以外に、自分を認めてくれる機会がなくなってしまったということではないでしょうか。
子どもたちの育ちにとって、いろいろな人たちが関わってくれることが本当は必要なのです。それは、社会性を育むことになり、様々な価値観に触れることになり、人とのつながりの中で自分が生きていることを実感することになるからです。

孤立化しやすい現代だからこそ、意識して地域の中につながれる場を創り、子どもたちが地域の中で育つことができる社会を創っていくことが必要だと思うのです。

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